グーグル社も参加、世界規模の早期警戒システム(上)

 カリフォルニア州モンテレー発――米グーグル社に新たに置かれた慈善事業の責任者が、世界規模の早期警戒システムを作るという野心的な計画への業界の支援を求めている。このシステムは、伝染病や災害などを発見して被害の拡大を防ぐことを目指している。

 グーグル社は22日(米国時間)、新たに設立した慈善団体の責任者にラリー・ブリリアント博士を任命したと発表した。ブリリアント博士は当地で開かれている『TED会議』(TED:テクノロジー、エンターテインメント、およびデザイン)で、23日に計画を発表すると見られる。

 科学技術の専門家であり伝染病専門の医師でもあるブリリアント博士は、今年の『TED賞』に輝いた3人のうちの1人だ。受賞者には10万ドルの助成金が与えられ、さらに、影響力を有するTEDのコミュニティーに「願い事」を1つかなえてもらえる。このコミュニティーはグーグル社を設立したラリー・ペイジ氏、ミュージシャンのピーター・ガブリエル氏など、テクノロジー業界やメディアの著名人で構成されている。こうしたメンバーが毎年モンテレーに集結し、招待者のみが参加できるTED会議を開催するのだ。

 ワイアード・ニュースが23日に行なった取材で、ブリリアント博士は願い事について、『世界公衆衛生情報ネットワーク』(GPHIN)をモデルにした世界規模の伝染病の早期発見・早期対応システムを構築することへの協力を求めたいと語った。GPHINはインターネットを利用した早期警戒システムで、公衆衛生への脅威に関する情報を収集し、その情報を7ヵ国語で国際連合に提供している。

 ブリリアント博士は「TEDのコミュニティーがわれわれのサーバーや検索エンジンを使い、さらに思い切って資金を投じ、どの国家からも独立した永続的なものを作ることができれば最高だ」と話す。「あらゆる惨事の兆候を早期に警告できるシステムを構築することが目標だ。具体的には、鳥インフルエンザのような流行病やSARS(重症急性呼吸器症候群)のような新しい病気、バイオテロなどを初期段階で発見し、素早い対応で封じ込めるシステムを作る必要がある」

 ブリリアント博士によると、グーグル社が新設した慈善団体もこの計画に参加する予定で、技術者を含む数百人の従業員がシステム構築への協力態勢を整えているという。しかし、まずはグーグル社以外の企業や財団の協力を募らなければならないと、ブリリアント博士は話す。その筆頭に挙がっているのが『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』だ。

 GPHINでは自動巡回ソフトを使って、7ヵ国語で書かれた2万のウェブサイトをスキャンし、病気の発生を暗示する出来事や噂をブログ、ニュースサイトなどの記録から探し出している。これに対して、ブリリアント博士は、2000万サイトをスキャンして数十ヵ国語で情報を提供するシステムを想定しており、それにはグーグル社、米サン・マイクロシステムズ社、米マイクロソフト社といった企業の協力が不可欠だ。

 システムは政府や企業の干渉を受けない中立な国に置き、機能停止を避けるため、データのバックアップはシステムと時差がある別の場所でとることになる。

 ブリリアント博士によると、このシステムは、飢餓や環境悪化や有毒物質流出などの兆候を見つけるためにも利用できるという。

 ブリリアント博士は、1989年に米ユニオン・カーバイド社の工場で起きた有毒ガスの漏出に言及し、「(インドの)ボパールで起きたことを考えてみてほしい」と述べた。この事故では1万人以上が死亡し、約50万人が何らかの被害を受けた。「発生から数秒以内に気付くべき事故だった」

 ブリリアント博士のシステムが提供する情報は、政府や医療関係者だけでなく、すべての人が母国語で入手可能になる予定だ。

 「(アフリカの)子どもがインターネットに接続し、通りの先でコレラが発生していることを知る。あるいは、カンボジアの誰かが通りの向こう側でハンセン病患者が出ていることに気づく。こうした未来を思い描いている」と、ブリリアント博士は話す。

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