『テレディルドニクス』の商用1号機、公開実演へ

 バイオレット・ブルーは、当代きってのセックス・ライターの1人だ。その上ハイテクオタクでもあって、私が彼女をとりわけ気に入っている理由も、そこにある。

 というのも、1日中ロボットを組み立て、200ものセックス関連ブログを週2回読んでそれらを紹介する記事(注:アダルト・コンテンツあり)を書き、セックス関連のベストセラーを十数冊執筆しながら、実際にセックスをする気力もちゃんと残っている――そんな女性には、賞賛を贈りたくなってしまうのだ。

 だから、テクノロジーを使ったアートを創る国際的な芸術家集団『ドークボット』が、セックスの遠隔双方向テクノロジー『テレディルドニクス』の現状について、会員向けに発表会を開催すると決定したとき、ブルーに出演を依頼したのもうなずける。発表会では、ニューヨークの『セックス博物館』の協力により、テレディルドニクス用マシンとしては初めて市販される『スリルハマー』のデモが行なわれ、同博物館所蔵のマシンをブルーが使用することになっている。

 発表会は、小さな会場で開かれ、ごく限られた人しか入場できない。しかも、私がこのイベントについて記事を書くと伝えると、主催者側は開催日を変更して非公開にしようと考えるほど、参加者の殺到を恐れていた。

 私は主催者の不安を拭おうと、『セックス・ドライブ』の読者がドークボットの会員のみを対象にしたイベントに押しかけることはないと伝えた。とはいえ、幸運にも入場を許された人たちにとって、ブルーの発表は目を見張るものになるだろう――たとえ彼女自身は、少し不安に思っているとしても。

 「見知らぬ女性とセックスしたことはない」とブルーは話す。「それより気がかりなのは、人前ですることだ。私はセックスパーティに行っても、ワインやビールを飲みながら眺めているだけだから。私は根っからの傍観者だもの。人前でセックスをしたことなど一度もない。それに、服は絶対に脱がない!」

 それでも、ブルーは発表会を、自分の技能を試すチャンスと捉えている。つまり、ロボットとセックス、両面での力量だ。「やるからには徹底的にやるつもり」とブルー。

 ブルーはハイテクに詳しい人に、さまざまな準備や確認を手伝ってもらっている。「私のノートパソコンをプロジェクターと音響設備につなぐ。ニューヨークにいるセックス相手の女性とマシンから音声をライブ中継し、私はサンフランシスコでマイクを使って指示を送る。もちろん、高速の(インターネット)接続も使う」とブルーは説明する。

 「スピーカー付き電話を使って、参加者とスリルハマーの発明者が質疑応答できるようにもしたい。発明者のところにウェブカメラを置くかもしれない。だって彼はカンザスシティーにいるのだから」

 「電気を使って変わったことをする人々」というキャッチフレーズを掲げるドークボットは、昨年にはマイク・マッケイブ氏を呼び、火吹きショーのパフォーマーに花火の添加物を使ってさらに派手な火を吹く方法を教えたりしている。

 つい最近では、ルーサー・シー氏が架空の脳スキャナーをたたき台に、個人の自由、安全、利便性について論じた。また、オーストラリア出身のパフォーマンスアーティスト、ステラーク氏(注:アダルト・コンテンツあり)が人工の頭部を披露した。ドークボットのサイトでは、「人の問いかけに答える会話エンジンを具体的な形にしたもの」と説明している。

 ブルーはもうしばらく、テレディルドニクスの研究を進めてみたいと考えている。ブルーの加わっているサンフランシスコの芸術と技術の集団『サバイバル・リサーチ・ラボラトリーズ』(SRL、「地球上で最も危険なロボット・ショー」が謳い文句)は、さまざまなテレディルドニクス・プロジェクトに技術面で参加している。

 「セックス・ライターなので、この手の質問を受けるなら私はうってつけ」と言うブルーだが、「ハイテク・フェチの来場者はきっとばつの悪い思いをするはず」と忠告する。

 「テレディルドニクスについて人々が、これまで犯してきた、そして現在も犯し続けている間違いをすべて披露する。アダルトな分野がハイテクを試してみるときに生じる、思い込みや浅はかな失敗を洗いざらい発表するつもり」とブルー。

 インターネットを介したセックスの発展を阻害している要因の1つは、一般の消費者の要求を満たすレベルのサービスを提供する手だてがまだ見つかっていないことだ――米ハイ・ジョイ・プロダクツ社や『米シニュレート・エンターテインメント社は懸命に努力しているが、そこまでには達していない。

 スリルハマーは裕福な収集家や営利企業向けに販売されている。ネバダ州カーソンシティー近郊にある売春クラブ『ムーンライト・バニーランチ』は昨年、スリルハマーを1台購入し、オレゴン州ポートランドで米ダークレディ・プロダクション社が主催したマスターベータソン(日本語版記事)に、無償貸与を申し出た。しかしこれは、ほとんどの人にとって寝室に置ける物でも、置きたいと思える物でもない。

 テレディルドニクスの利用がウェブサイトに接続するのと同じくらい簡単になるまでは、この技術はニッチな製品にとどまると考えている。今のところ、失笑を買いこそすれ、真剣に受け止める人はほとんどいないという。

 「『トライブ』にグローリー・ホール[フェラチオなどをするために男子トイレの仕切り壁に開けた穴]を設けたかのように、ソーシャルネットワーキング・サイトにテレディルドニクスを用いてごく簡単に匿名のセックスができるインターフェースを加えた仕組みができれば、成功するはずだ」と、ブルーは指摘する。

 ブルーは、テレディルドニクスの歴史について記事を書いたり、講演をしたりしているが、公の場での実演は今回が初めてとなる。ブルーは、実演で起きることをすっかり把握しているわけではないが、週末までにセックスの相手がどういう人かを知ることになるのは確かだ(出稿時点では、スリルハマー側は相手の女性について明かしていないが、ブルーは情報が入りしだい、自身のブログに掲載すると約束した)。

 「実演は、ユーモアと恐怖と当惑が同じくらいの割合で混ざり合ったものになると思う。露骨な行為には違いないが、笑いを誘うものにもなる」と語るブルーの声からは、電話越しにうなずく様子が伝わってくる気がした。「大体において、笑いの要素が強くなるだろう」とブルーは語った。

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